ワイン葡萄の苗木が不足。その理由をまとめてみた。

国産ワインの原料となる醸造用ブドウの苗木不足が深刻化しており、ワイナリーによる畑の増設や新規就農者の妨げになっているようです。

その主な背景をまとめてみました。

国産ワインの現状

ワインの消費量

酒類全体の出荷量は年々減少しているにも関わらず、ワインの消費は拡大しています。

輸入ワインのみならず、国内出荷分についても年々増加しています。

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国内製造ワインの現状

国内で製造されているワインのうち、80.6%は海外の濃縮果汁等を原料に造られています。

また、それらのワインは、国産ワインとして出荷されているのが現状です。

なお、海外の濃縮果汁を原料として製造しているのは、現在283場あるワイナリーのうち、大手ワイナリー7社(年間1,000kl以上製造)が大半を占めています。

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ワイナリーの新規参入

国内ワイン人気の高まりや「ワイン特区」の導入等を受け、果実酒製造場数が直近5年間で50件以上増加するなど、新たなワイナリーが次々に誕生しています。

国の政策による影響

ワインの表示ルールの導入

国産葡萄のみから醸造された「日本ワイン」の高品質化、日本ワインのブランド力の向上を目的に、「果実酒等の製造品質表示基準」が、2018年10月より発効されることとなりました。

◆果実酒等の製造品質表示基準(抜粋)

  • 「日本ワイン」を定義

国産ブドウのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒

  • 「日本ワイン」に限り、産地名、ブドウ品種、収穫年が表示可能

産地表示する場合は、その地域で収穫したブドウを85%以上使用すること

自社畑を増設する動き

このワインの表示ルールの導入に伴い、特に大手のワイナリーが「日本ワイン」の生産を増やそうと、自社畑を増設する動き見られます。

醸造用葡萄の苗木について

以上のような、日本ワインの人気、そして、日本ワインの表示ルールの導入に伴い、醸造用葡萄の苗木が不足しているようです。

需要に対して供給量が1/3にも満たないと言われています。

苗木の実態について

醸造用葡萄の苗木は、アメリカ系品種(フィロキセラ虫害への耐性をもつ)の台木に、希望するワインをつくる専用品種(ピノ・ノワールやシャルドネなど西欧系ヴィニフェラ種)の穂木を接ぎ木します。

接ぎ木はある程度の技術があれば個人でもできるようですが、大量に作るには専用の温室や圃場をもつ苗木業者に依頼する必要があります。

しかしながら、葡萄の苗木業者は全国でも十数軒に留まるようです。

これまで一定量の需要しかなかったので、急に大量の発注があっても対応ができていなのが現状のようです。

また、醸造用葡萄の接ぎ木の成着率は、5割程度と言われることから、他の果樹の苗木業者も手を出せないでいるのが現状のようです。

なお、苗木代金は1本あたり1,200円前後が相場のようです。

苗木の輸入について

海外から苗木を輸入するにしても、1年間の検疫が必要になります。

検疫所に確認したところ、検疫所のキャパが限られていることから、1回に輸入できる量は、1社あたり50本程度とのことです。

1ha(100m×100m)に苗を植えるとして、3,000〜4,000本の苗木が必要になりますので全然足りませんね。

なお、北海道で新規就農する場合は、2.5haの畑を確保する必要があります。

このような背景を受け、2018年1月より、民間でも条件を満たした施設であれば、輸入して隔離栽培することが可能となりましたが、条件を満たすには相当のコストを要すことから、2018年5月現在で民間の申請者はゼロだそうです。

まとめ

ワイン葡萄の苗木が不足している理由をまとめてみました。

マクロな視点で考えれば、日本ワインの表示ルールの導入に伴い、国産ワインの品質が向上することは良いことだと思います。

しかし、夢や希望を持った新規就農者にとっては、アゲインストの風が吹いていることは間違いありません。

また、あまりにも苗木が手に入らないので、接木していない苗(自根苗)を植えている新規就農者もいるようです。

もし、フィロキセラ虫害にあったら、自分の畑だけでなく、まわりの畑にも影響を及ぼす可能性がありますので、モラルが問われる問題だと思います。

接木しているからといって、完全にフィロキセラ虫害をブロックできるとはかぎりませんから。。。

今後、苗木業者さんによる生着率(生産性)の向上、検疫所によるキャパの拡大、民間業者による苗木輸入の緩和などにより、この苗木不足問題の解消を願うばかりです。

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