奇跡の葡萄はできるの?奇跡のワインは?

無肥料・無農薬の葡萄栽培は可能?

夫が、熊本県山鹿市のワイン用葡萄の農家さんを訪ねました。

菊鹿ワインのシャルドネを栽培されている農家さんです。

以下は、夫の日記です。

農家さんの高齢化に伴い、将来的に若い方に事業承継を希望されている方がいらっしゃるとのことで、お伺いしました。

今回訪ねた農家さんも含め、現在栽培されているほとんどの方がご高齢だそうです。

この地域の農家さんは、すべて地元のワイナリーの契約農家さんで、事業承継後もその契約は引き継がれるそうです。

そこで聞いた話ですが、最近事業承継したある若い農家さんが、散布する農薬を減らした結果、葡萄の樹が枯れて全滅したそうです。

実際にその畑を見せていただきましたが、本当に無残に枯れ果てていました。

すべて植え替える必要があるそうです。

この地域は、雨が多いので、散布のタイミングを間違えただけでも大変なことになるそうです。

雨が多い地域では、無肥料・無農薬の栽培は無理なのでしょうか?

それとも、今までやってきたことを急に変えて、葡萄の樹が耐え切れなかったのでしょうか?

一方、宮崎県の都農ワインでは年間降水量が4,000ミリを超える環境下、積極的な堆肥を行い、高品質なワインを造られています。

都農ワイン訪問日記https://kirakura.com/winery1/

また、夫婦でやられている北海道のあるワイナリーさんも、葡萄の苗木を植え、無肥料・無農薬を実践した結果、病気になり、苗木を植え替える事態になったと、ブログで紹介されていました。

樹が若いうちは、成長した樹と違って病気になりやすいのでしょうか?

人間の赤ちゃんのように、様々な予防接種を受けさせ、親が大事に育てる必要があるのでしょうか?

ワインは、100%ぶどうの果汁からできます。

よって、「良いワインは、良い葡萄から」という言葉をよく見聞きしますが、良い葡萄づくりとは、いったいどのようなものでしょうか?

無肥料・無農薬で葡萄ができれば、良いワインになると思うのですが、そんなことが可能なのでしょうか?

そこで、葡萄よりも病気になりやすいと言われるリンゴで、無肥料・無農薬の栽培に成功された、青森県のリンゴ農家である木村秋則氏の自叙伝「リンゴが教えてくれたこと」を読んでみました。

「奇跡のリンゴ」とは?

NHKのプロフェッショナルにも以前取り上げられたようです。

なぜ「奇跡のリンゴ」と言われるのかというと、あるフレンチシェフが、木村氏のリンゴを購入し、二つに割ったまま冷蔵庫の上に放置していたリンゴが二年経っても腐敗せず、干からびた状態のままにフルーティーな香が残っていたことに驚いたからだそうです。

木村氏は、農薬で皮膚が過剰反応する奥さまを見て、農薬を止め、堆肥も止め、そこから壮絶な苦労の末、「奇跡のリンゴ」づくりに成功されています。

木村氏は、ただ農薬と堆肥を止めただけではなく、たくさんのことに取り組んでいますので、その主な取組みをご紹介します。

止めたこと

①農薬を止めた

②堆肥を止めた

・・・仮に堆肥を行うなら完熟堆肥がベスト。「乾土効果」という現象があり、乾いた土は好気性菌が働き、湿った土では嫌気性菌が働く。

③土の下草を刈ることを止めた

・・・木は暑くても動けず、夏場の暑さは葉っぱや木をすごく弱める。一方、草を伸ばすと草の中の温度は下がる(外気が35度と発表された日、土の温度は24度だった)。ヨモギなどの多種類の雑草が意外に効率的、効果的に土壌を豊かにしてくれる。

新たに取り組んだこと

①畑に大豆を蒔いた

・・・大豆を畑に蒔くと、土に欠けている養分を補う働きをする。具体的には、豆類(大豆はいいが黒豆はだめ)の根につく根粒菌が、空気中の窒素を植物が利用しやすい形に換えてくれる。土中からリン酸を集めて植物に送る根粒菌もいる。アーバスキュラー根粒菌と呼ばれる菌だが、これはほとんどの陸上植物の根と共生することができる。蒔き方としては、畑の十ヶ所に必ず植え、常に根粒の数をみる。1本あたり10粒以下になったら大豆を蒔かなくていい。30粒以上あったらまだ土壌が窒素を要求している証拠。しかし、毎年大豆をやるのは間違いで、2年やったら3年休むなど土壌の様子をみる必要がある。

②畑に麦を蒔いた

・・・普通の畑には20~30センチのところに硬盤層がある。その冷えたところを破壊するのは人の手では無理で麦が壊す。ただし、麦は肥料食いで、麦だけで壊すと土が痩せてしまうので、大豆と一緒に入れる。麦を2、3条播種したら豆を1条植える方法をとる。

③農薬の代わりに酢を散布した

・・・同じ濃度で散布を続けると病原菌が耐性をもってしまうので、その都度、200倍から800倍まで希釈する。適した濃度でタイミングよく撒く散布する必要がある。

④春の雪解け水を見ながらたくさんパイプを通す暗渠をつくった。

⑤夏場は草を刈らないようにするが、10月になれば秋を教えるために伸びた草を刈る。

⑥木の姿が葉っぱの葉脈と一緒になるように葉脈の形に合わせて剪定する。

⑦虫対策

  • 虫の誘殺のためにリンゴをアルコール発酵させたものをバケツに入れ、リンゴの木に吊るすようにした。ミカンで蛾を誘うやり方もあり、地物の産物を使うのがよく、過度に熟したくされかけのものが一番効果がある。水で割ってそのまま醗酵させる。しばらくすると酢になるのでいい匂いがしたところで止めておく。バケツ三分の一くらいあれば十分で虫は溺れ死ぬ。なぜか蛾は透明や緑のバケツには入らない。なるべく赤か黄色などの暖色系のものを選ぶ。バケツはおもちゃのバケツで十分で、人間の目の高さに吊るすとよく入る。欠点は、スズメバチやアシナガバチなどのハチが集まってくることで、子供がいる場合はお勧めできない。
  • 枯れたものを土の上に載せると虫が来なくなる。一方、取ったばかりの青草を置くと二日もすればアブラムシがいっぱいやってくる。雑草を乾燥させ、作物の脇に置けばいい。キク科の植物が土中の無効リンを有効に変える触媒の役目をしているのではという研究もある。
  • ミョウガの葉っぱを敷くと、ヨウトムシの被害がない。
  • てんぷら油に石鹸を混ぜた液状のものを散布するとハマキムシがいなくなる。

木村秋則著「リンゴが教えてくれたこと」より抜粋

まとめ

大豆や麦を植えたことは驚きでした。

面白いですね。非常に興味深いです。いつかは自身で試してみたいです!

木村氏は、「奇跡のリンゴ」ができるまでに、農薬を撒かなくって11年の年月を積み重ねています。

その11年の歳月のなかで、様々なことを思考錯誤して、上記の手法にたどり着いています。

熊本県の畑一面の葡萄の樹を枯らした方は、おそらく、そのような取組みは行っていないと思います。

ただ、無肥料・無農薬にすればいいという訳ではないことが分かりました。

やはり、病気になりにくい環境づくりが大事で、そのなかでも排水性が重要だということが分かりました。

木村氏は暗渠を土の中に引いています。相応のコストが掛かっているはずです。

山梨県の中央葡萄酒の三澤農場を訪ねた際に、広大な畑で斜面であるにもかかわらず暗渠を通されていましたし、さらに高畝式栽培(樹が植わっているところを高くする)も実験として導入されていました。九州に比べて雨の少ない地域でさえそこまでやっているのです。

果樹栽培にとって、排水性はとても重要なポイントで、果樹栽培を一から始める場合は、雨の少ない地域や水はけのよい斜面、日当たりの良い畑などを選ぶことがとても重要ですね。

森の木々は農薬を散布しなくても毎年元気に茂っていることは事実です。

それは、森は水捌けもよく病気にかかりにくい環境で、そして、毎年多くの落ち葉などによる菌の働きにより、土壌が良い循環をしているからに他ありません。

木村氏は、福岡正信氏の著作「わら一本の革命」を参考にして、無農薬のリンゴ栽培を考え出したとも書かれていましたので、今度はその本を読んでみようと思います。

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